オリオン座の小三つ星付近を撮る
- 揖斐谷 -






オリオンのベルトに相当する三つ星は、右からδ(デルタ)星がミンタカ、ε(イプシロン)星がアルニラム、ζ(ゼータ)星のアルニタクと続く。
画像の上にこのうちの2つ、右からアルニラム、アルニタクが見える。

アルニタクの上には散光星雲 NGC 2024(通称 燃木星雲)が、その下には馬頭星雲が見える。
その下は小三つ星または縦三つ星と呼ばれる星の並びが続く。肉眼でもその中央がぼんやりと、にじんだように光っていることがわかる。これがオリオン大星雲M42で、そのすぐ上にM43が小さく輝いている。

周辺と比較するとM42は非常に明るいので、写真では白く飛んでしまっている。


三つ星にまつわる野尻抱影氏の言葉は、かつて紹介したがここに再掲する。

野尻抱影氏は『新星座巡禮』(1957年)で、オリオン座が巨人の姿を空想したギリシア神話のような「天上に活躍する勇者」を日本の歴史の中では描かれなかったことを遺憾としながらも、次のように記している。


 この3つの二等星は上から学名δ・ε・ζで、固有名はミンタカ(革帯)もアルニラム(真珠の紐)、アルニター(真珠の帯)、何れももとはこの一列の総称であった・・・(中略)・・・
 しかし日本でも、三つ星は、北斗七星、すばる星と共に農村・漁村の人たちに深く親しまれていて、前にも述べたように、いろいろな方言で呼ばれて来ました。三つ星の他に、例えば東京から東北にかけては「三じょうさま」「三大しょう」、長さで言う名では千葉・茨城の「尺五星」「算木星」、青森の「竹の節」、中国・四国の「かせ星」。またものを担ぐ形と見た「稲荷(いねにな)い」「粟荷い」、時には「親荷い」などの名もあり、最も広く行われているのは、三つ星とその近くの星々を結んだ見方による「からすき星」「酒枡(さかます)星」です(野尻抱影「三つ星」『新星座巡禮』1957年)。


 氏は「巨人の姿を空想するような奔放さはなくとも」「純真素朴」な日本独自の星の名を数多く伝えていることは「誇ってもいいこと」と述べている。
 同書に収録された「星は周る」の中の最後の言葉を次に掲げる。


 三つ星よ、シリウスよ、讃えられてあれ!



300mm相当にtrim、f2.8、900秒露光(180秒×5枚)、赤道儀により恒星追尾撮影
2021年11月8日0時16分撮影






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2021年12月4日 ソニーストア名古屋


本講座は、2021年に篠田通弘の写真講座「星撮影講座」としてαアカデミーで開講された

4/17「αで星空を撮ろう-星空撮影はじめの一歩-」
7/17「ペルセウス座流星群撮影講座」
11/3「αと三脚で撮る星景固定撮影入門」「αとポータブル赤道儀で撮る星野追尾撮影入門」

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                   (篠田通弘)









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